晴れ晴れ句会 第十回 平成二十年九月二十七日（土）於東京・根津「晴れ晴れ家」

＊八点
台風一過アドレスを全消去　川合健生　◎石川、喜連川、鴻池氏特選

＊五点
犬の名を呼ぶ声しきり紅葉山　石川鐵男　◎池田、川合氏特選

＊四点
指先でつながつてゐる晩夏かな　川合健生

＊二点
昼の虫切手足らぬと届きけり 池田ブランコ
虫すだく地球最後の日のやうに 池田ブランコ
酔ひどれの菊の花びら散りばめて　石川鐵男　◎中村正特選
魚跳ねて水鏡の月乱れたり　喜連川覚　◎中村泰特選
給料の前借二万秋の風　鴻池貴光
首筋を打つゲリラ雨秋祭　鴻池貴光
秋蝶や我が事ばかり言ふ女　中村正則
電柱がスーツがサンマを買うを見る　中村泰子　◎橋本氏特選
落葉降る私が居ても居なくても　橋本茂則

＊一点
仰向けに溜まる泪よ雁ゆけり　池田ブランコ
銀座にて座る場もなし法師蝉　池田ブランコ
月代や想像妊娠わざとして　池田ブランコ
ドア開くる男の連れし秋の蝶　石川鐵男
瓶叩くラムでレゲエの月の夜　石川鐵男
満月やアキレス腱をゆつくりと　川合健生
亀眠る水槽に浮く月うさぎ　喜連川覚
君を待つボウフラの浮沈数えつつ　喜連川覚
月明かり本読む横に吾の寝息　喜連川覚
舞へばかげろふいつかの契り事　中村正則
街灯ともり小走りする秋かな　中村泰子
空缶を蹴り上げ高し秋の空　橋本茂則
もうもうと煙も苦し秋刀魚焼く　橋本茂則