晴れ晴れ句会(引越し先)Haiku on Sunnyday

千駄木で月一開催の句会晴れ晴れ句会の新サイトになります。

晴れ晴れ句会プレミアム vol.2 「鍋の句会」 平成二十年十二月八日(月) 於東京・根津「晴れ晴れ屋」


*六点

無造作に千切る冬菜やチャンコ番 神田松鯉 ◎川合氏特選

 

*五点
縛られて越前蟹の御到来 神田松鯉 ◎金太郞師特選
湯豆腐の出でて正座を崩しけり 神田松鯉
語らねど大根ほどに染みる仲 中村正則 ◎生嶋氏、藤原氏特選

 

*四点
葱匂ふ吊り皮の手をポケットに 石川鐵男 ◎中村特選
冬の星近づいてゆく観覧車 藤原宏子 ◎夏丸氏特選
忘年会笑顔煮詰る鍋の中 ◎鶴田氏特選

 

*三点
電球の下の具材や鍋を待つ
鱈に似た深海魚らし鍋の底 植竹団扇
信号の点滅かなし冬銀河 桂夏丸 ◎石川氏特選
メールするプラットホーム冬の星 桂夏丸 ◎人形町特選
湯豆腐や祖父が思い出ばなしをす 桂夏丸
車座や箸の触れ合ふ牡丹鍋 神田松鯉
雑炊に眼鏡のくもり指ワイパー 喜連川
冬の星落ちて銀杏の中にあり 鶴田寿子

 

*二点
白菜の記憶や母の背なに吾 石川鐵男
白い肌透けて大根も食べ加減 植竹団扇
歳時記の冬を粗方盛つて鍋 植竹団扇
ポストへの道のり長し冬の星 桂夏丸
葱噛みて不発の弾は舌の上 喜連川覚 ◎団扇氏特選
冬の星神になりたき娘かな 山遊亭金太郞
切り取らるビルの隙間の寒の星 鶴田寿子
母の手からクール便春菊甘し 人形町ひろこ ◎喜連川氏特選
コンタクト度が強くなったか冬景色 人形町ひろこ

 

*一点
サイレンの音速りゆく冬銀河
雑炊を食べて試験に臨みけり 生嶋元彦
酒を酌む鍋に湯豆腐ふるへをり 
石川鐵男
毎朝に大根擂る妻その夫 
石川鐵男
亡き姉に逢ふたこと無し冬銀河 
石川鐵男
寄せ鍋をキムチ一存朱に染め 
植竹団扇
煮こぼれて先立つ河豚の詠む辞世 
植竹団扇
凍星やオフィスに漏るる窓明り 桂夏丸
合宿や丼で出す根深汁 
神田松鯉
冬の星弱火の中の弱火かな 川合健生
白菜の葉脈広がる鍋湯かな 喜連川
つらら折り煮つまる鍋の縁に立て 喜連川
吾の心全て見透かす冬の星 山遊亭金太郞
ひととせの垢を浄めて寒北斗 中村正則
冬を越せと本能ぜんざいおかわりす 人形町ひろこ

 

---------過去投稿の移設に寄せて---------

晴れ晴れ句会を当初開催していた「晴れ晴れ家」僕、佐藤が仕事で知り合ったCM監督の石川鐵男監督が俳句の句会を開催するために私財を投げうって作り上げた店でして、そこで繰り広げられた俳句を交えた夜の句会?ですね。大人の会です。プレミアム句会。どうにも、月曜日の開催ということや、月イチで既に僕の当時の発句能力は限界を超えておりましてレギュラーの晴れ晴れ句会に加えてプレミアム句会??という。参加される面々の意欲も含め当時驚きをもって受けとっておりました。

兼題(その会での指定するお題目、季語以外がおおいかな?)が入っている句会でして、レギュラーの晴れ晴れ句会とも違う趣向が現れているのでは?と思います。
というか、僕もまじまじとみるのは初めて?なのかな?中々に興味深いです。

また、土曜開催のレギュラーの会と違い、石川監督の交友関係で落語家さんが数名投句に名を連ねているところも興味深いです。

晴れ晴れ家ではライブを開催したり、落語会を開催したりといった石川監督の理想を体現している多彩な側面も。半ば俳句とらのあな。といった感じのお店でしたので、飲み屋として、ベジタブルダイニングとしての佇まいとは別の、趣味に没頭する謎のおじさんが開いた謎の場所としての側面が色濃く出ていて今も偶に思い出しますが面白い場所だったなと。

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あ、あと、名前が黄色の着彩されていた方々、なんなんでしょうね。全く不明です。この回には僕は参加していませんし、知る由もない。もしかしたら、晴れ晴れ句会の小冊子に載った句とかかな?それにしては、石川監督の句が多いな。

謎。

佐藤健二2023.06.30